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玄武岩

化学過程(液相成長) - 地中閉鎖系(メルト沈澱)

定義

斑晶と石基からなる斑状組織を持つ火成岩で、SiO2 = 45-52 wt%の化学組成のもの。 下にまとめた他の特性は一般的なもので、鉱物組み合わせから岩種を予想することはできるが厳密には決まらない。

鉱物組成

苦鉄質鉱物 = 60-70 vol% (苦鉄質)、珪長質鉱物のうち石英が0-20 vol%、長石のうち斜長石が65-100 vol%。

化学組成

SiO2 = 45-52 wt% (塩基性)。

組織

斑晶と石基からなる斑状組織。

生成に必要な地質環境

島弧火山, 海洋性島弧火山, 海嶺, ホットスポット火山, マントルプルーム

産状

地表に噴出したマグマにより形成された苦鉄質(塩基性)の火山岩である玄武岩に含まれる造岩鉱物。 化学組成より、低アルカリソレアイト玄武岩、高アルカリソレアイト玄武岩、高アルミナ玄武岩、アルカリ玄武岩に分類される。 また鉱物組み合わせより、上部マントルの部分溶融度が大きいソレアイト玄武岩、部分溶融度が小さいアルカリ玄武岩と、 起源について議論の続いているカルクアルカリ玄武岩に分類される。 上部マントルはレールゾライトから出来ているが、 ソレアイト玄武岩などのマグマを放出した上部マントルの溶け残りは、ハルツバージャイトだと考えられている。 ソレアイト系列(ピジョン輝石系列)ではマグマの分化に従いSiO2が増加せずにFeOが増加し、 カルクアルカリ系列(ハイパーシン系列)ではSiO2が増加しFeOが増加せず、それぞれ鉱物組み合わせが異なる。 ソレアイト玄武岩には、海嶺に見られる中央海嶺玄武岩(MORB)、ホットスポット火山に見られる海洋島玄武岩、沈み込み帯の島弧に見られる島弧玄武岩、 マントルプルームに伴う洪水玄武岩などがある。 カルクアルカリ玄武岩には、沈み込み帯の島弧に見られる島弧玄武岩がある。

玄武岩

このサイトに記載のある斑晶鉱物を伴う玄武岩の分布。 黄線は火山フロント。

鉱物組み合わせ (斑晶)

ソレアイト玄武岩: 斜長石 (亜灰長石-灰長石), 単斜輝石 (ピジョン輝石, 普通輝石), 斜方輝石 (紫蘇輝石), 苦土かんらん石, (苦土普通角閃石, 金雲母)

カルクアルカリ玄武岩: 斜長石 (亜灰長石-灰長石), 単斜輝石 (普通輝石), 斜方輝石 (紫蘇輝石), 苦土かんらん石, (苦土普通角閃石, 金雲母)

アルカリ玄武岩: 斜長石 (亜灰長石-灰長石), ケルスート閃石, 金雲母

鉱物組み合わせ (石基)

ソレアイト玄武岩: ガラス, 単斜輝石 (ピジョン輝石, 普通輝石), その他の斑晶鉱物, (磁鉄鉱, チタン鉄鉱, 燐灰石)

カルクアルカリ玄武岩: ガラス, 斜方輝石 (紫蘇輝石), 単斜輝石 (普通輝石), その他の斑晶鉱物, (磁鉄鉱, チタン鉄鉱, 燐灰石)

アルカリ玄武岩: ガラス, 斑晶鉱物, (磁鉄鉱, チタン鉄鉱, 燐灰石)

産地

  • 八丈島 (溶岩, 灰長石)
  • 三宅島 (溶岩, 灰長石)
  • ハワイ (溶岩, 苦土かんらん石)
  • (溶岩, ケルスート閃石)
  • 上佐野 (岩脈, 透輝石)

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