鈴庫鉱山(すずくらこうざん)
山梨県(やまなしけん)甲州市(こうしゅうし)塩山平沢(えんざんひらさわ)
産状
四万十付加コンプレックスの古第三紀の相模湖層群に 貫入した後期 中新世 (1000万年前, 10 Ma)の徳和花崗岩中に見られる低温熱水鉱床と中温熱水鉱床の複合鉱床。 徳和花崗岩は、中心部がI型(磁鉄鉱系列)だが周縁部でS型(チタン鉄鉱系列)になっている。 これは泥質岩によってマグマが還元されたためと考えられている。 鉱脈は、岩体中心部に見られる。 岩体の中心に近いI型(磁鉄鉱系列)の部分には硫砒鉄鉱が、周辺のS型(チタン鉄鉱系列)の部分にはPb-Sb鉱物が多く見られる。 この産地付近の相模湖層群の堆積岩は、おそらく中期 始新世 (4500万年前, 45 Ma)の権現山ユニットのもの。 堆積年代は放散虫化石、花崗岩の年代は黒雲母と全岩のK-Ar放射年代による。
鈴庫鉱山の坑道。坑道の内壁に見えている母岩は新鮮な徳和花崗岩で、変質はほとんど見られない。 鉱体は、ほぼ南北の走向を持つ石英脈に伴っている。
産出鉱物
鉱物組み合わせ
- 石英(脈石) - 黄鉄鉱 - 方鉛鉱 - 硫砒鉄鉱 - 黄銅鉱
- 石英(脈石) - 硫砒鉄鉱 - スコロド石
- 閃亜鉛鉱 - 方鉛鉱(細粒) - 黄鉄鉱(細粒)
- 石英(脈石) - 方解石(脈石)
沿革
- 1946年前後: 休山。